今回はLANケーブルの話です。地味な買い物ですが、自宅ラボのように機材が増え続ける環境では、ケーブルの「規格」と「太さ」の選び方を間違えると、配線のたびに小さなストレスを払い続けることになります。結論から書くと、自宅で今LANケーブルを買うなら「Cat6Aの細径タイプ」一択です。この記事では、その理由と、当ラボが基準にしているサンワサプライの極細シリーズ(KB-SL6A)を紹介します。
自宅では「細いケーブル」が正義
LANケーブルのカタログスペックで見落とされがちなのが、ケーブル外径です。一般的な標準径のLANケーブルは6mm前後あり、硬く、曲げ癖がつきます。一方、細径タイプはおおむね3mm前後。この差は数字以上に効きます。
- 机の裏や巾木沿いの取り回しが楽: 硬い標準径は曲げた場所で浮き、束ねるとかさばります。細径は狭い隙間に沿わせやすく、ケーブルボックスにも収まりが良いです。
- ルーター・ハブ周りが渋滞しない: ポートが並ぶ機器に太いケーブルを何本も挿すと、コネクタ根本に無理な力がかかりがちです。細径は隣のポートと干渉しにくく、抜き差しもしやすいです。
- ドアの下や家具の裏を通せる: 自宅の配線は「通したい場所が狭い」ことがほとんどです。細さはそのまま配線の自由度になります。
データセンターの整った配線環境と違い、自宅の配線は障害物との戦いです。だから自宅ではまず「細いこと」を条件にして良い、というのが当ラボの立場です。
規格は Cat6A 一択
次に規格です。今売られているLANケーブルは主に Cat5e / Cat6 / Cat6A / Cat8 ですが、今から新しく買うなら Cat6A 一択と考えています。
Cat6A は 10GBASE-T(10Gbps)に対応する規格です。ポイントは、10Gbps が「将来の話」ではなくなったことです。
- 2.5Gbps 対応は、ミドルクラスのルーターやマザーボードで当たり前になりました。
- 10Gbps の光回線サービスも一般家庭で契約できるようになっています。
- Wi-Fi 7 ルーターを活かすには、有線側がボトルネックにならないことが前提です。
一方、Cat5e / Cat6 は基本的に 1Gbps 世代の規格です。もちろん今日の 1Gbps ネットワークでは問題なく動きますが、ケーブルは一度配線すると何年も使う部材です。機器側が 2.5G / 5G / 10G に上がっていく流れが確定している以上、これから買うケーブルだけ 1Gbps 世代を選ぶ理由がありません。Cat6A との価格差も、もはや誤差の範囲です。
Cat8 は自宅では無意味
「どうせ買うなら一番数字が大きいやつ」と Cat8 を選びたくなりますが、これはやめたほうがいいです。理由は明確です。
- 対応機器が家庭に存在しない: Cat8 は 25G/40GBASE-T 用の規格で、想定用途はデータセンターのラック内配線です。家庭用のルーター・ハブ・PCに 40GbE ポートは載っていません。Cat8 ケーブルを挿しても、リンク速度は接続機器の上限(せいぜい10Gbps)までしか出ません。
- シールドが活きない: Cat8 はシールド付き(STP)構造で、本来はネットワーク機器側での接地(アース)とセットで機能します。接地を前提としない家庭用機器では、シールドの効果をまともに発揮できません。
- 太くて硬い: シールド構造のぶん太く硬くなり、この記事の主題である「自宅では細さが正義」と真っ向から衝突します。
つまり自宅の Cat8 は、性能面の恩恵がないまま、取り回しの悪さと価格だけを受け取る買い物になります。「規格の数字が大きい=速くなる」ではない、という点だけ覚えて帰ってもらえれば十分です。
当ラボの基準: サンワサプライ KB-SL6A シリーズ
「細径」と「Cat6A」の両方を満たす定番として、当ラボではサンワサプライのカテゴリ6A極細LANケーブル KB-SL6A シリーズを基準にしています。要点は次の通りです。
- 直径2.8mmの超極細: 標準的なLANケーブルの半分以下の細さで、Cat6A(10GBASE-T・伝送帯域500MHz)に対応します。
- ツメ折れ防止コネクタ: 折れないナイロン製のツメに加えてPVC製のカバーが付きます。LANケーブルの寿命は断線よりツメ折れで尽きることが多いので、地味に重要な仕様です。
- 長さと色の選択肢: 0.5m / 1m / 2m / 3m / 5m / 10m、ブラックとブルーの展開です。ルーター周りの短距離から部屋をまたぐ配線までこのシリーズで揃えられます。
「Cat6Aは高規格だから太くて硬い」というイメージがあるかもしれませんが、それはすでに過去の常識です。直径2.8mmは、世の中の細径タイプ(3mm台が一般的)の中でもさらに細い部類で、細さのために規格を妥協する必要はもうありません。「細さ」と「Cat6A」を1本で両立できるのが、このシリーズを基準にしている理由です。
細径ケーブルを使わないほうがいい場面
公平のために、細径が向かないケースも書いておきます。細径ケーブルは芯線が細いより線構造(32AWG)のため、標準径の単線ケーブルより伝送距離やノイズ耐性の面では不利です。
- 壁内・天井裏などの隠蔽配線や数十メートル級の長距離配線は、標準径・単線のCat6Aを使うべきです。
- PoEで大きな電力を流し続ける用途(PoE++のアクセスポイントや監視カメラの給電幹線など)も、細径より標準径が安心です。
逆に言えば、ルーターとPC・NAS・ハブをつなぐ室内の数メートルという、自宅で最も本数が多い配線には細径で何の問題もありません。適材適所で、露出する室内配線は細径Cat6A、と覚えておけば大丈夫です。
まとめ
LANケーブル選びの結論はシンプルです。自宅の室内配線は「細径のCat6A」を選ぶ。Cat5e/Cat6を今から新規に買わない。Cat8はデータセンター用なので手を出さない。この3行だけで、ケーブル売り場で迷う時間はゼロになります。当ラボでは取り回しの良さからKB-SL6Aシリーズを標準にしており、まず1本試すなら汎用性の高い3mが無難です。
サンワサプライ カテゴリ6A極細LANケーブル KB-SL6Aシリーズ(Cat6A・10Gbps対応・直径2.8mm・ツメ折れ防止・ブラック)
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