判定するAIを、さらに検定する道具を作った(第4期の中締め)

ほぼ同じ形の書類を左右に乗せた天秤のイラスト。一方の書類だけがわずかに欠けており、判定を検定する様子を象徴している

記事を公開前に見直すとき、「この条件を満たしたから合格」と決める方法には、ずっと取りこぼしがありました。

見出しがある。文字数が足りる。リンクがある。そういう測れるものは正規表現で拾えます。でも、読みやすいか、図と文章が噛み合っているか、話が途中で一般論へ逃げていないかは、条件を足してもあまり測れません。測れないものを、黙って落とす判定になってしまうからです。

そこで作ったのが、記事を参照記事と並べて「どちらが劣るか」を複数のエンジンに尋ねる judge.py です。合格線を一本引く代わりに、実物どうしを比べてもらう。日本語文の質を見るときは、画像を見られるエンジンに加え、文章専用のエンジンも入れます。

python3 office/blog-quality/judge.py --ours ours-syslog --refs ref-publickey,ref-hitode \
  --dim ja --engines claude,codex,agy

ただ、ここで次の疑問が残りました。判定を任せるなら、その判定器がちゃんと悪化を見抜けることも確かめたい。

目次

元記事と「劣化双子」を並べる

元記事から劣化双子を作り、判定器に両方を見せて元記事を選べるか確かめる手順を表した手描き風の図
劣化双子を判定器に見せ、元記事を選び返せるか確かめる検定の流れ

そのために calibrate.py を用意しました。これは「良い記事を完全に順位づけられる」ことを証明する道具ではありません。元記事から劣化した双子を作り、元と区別できるかだけを試す、もっと小さな検定です。

python3 office/blog-quality/calibrate.py --base ours-restic --engines claude,codex
python3 office/blog-quality/calibrate.py --base ours-syslog --dim ja --engines claude,codex,agy

2026年7月26日の text/design 双子検定では、claude・codex と text・design の4組すべてが元記事を選びました。日本語文の切れ目だけを壊した双子検定でも、claude・codex・agy の3組すべてが元を選択しました。4段落に1つだけ壊す軽量版でも、結果は3組とも同じでした。

これは記事が良いという認定書ではありません。少なくとも、この種類の劣化なら判定器が見失っていない、と確かめるための試験です。判定器に仕事を渡した後も、判定器自身へ小さな問題を出し続けられるようになりました。

実記事の対比と、ひとつの誤読

天秤に見立てた判定器が、AIか人間かではなく文体のくだけ具合を測ってしまっていることを示す比較図
判定器が測っていたのは「AIらしさ」ではなく文体のくだけ具合だった

実記事を参照記事と比べる --dim ja の審査では、589・557の2記事が Publickey・ヒトデ祭りとの9組すべてで勝ちました。負けたのは waste 軸の1件だけです。

一方、--dim human――どちらが人間の文章かを聞く軸――は、一度まちがったものを測りました。ヒトデ祭りを参照にすると、593・589は3エンジンともAI判定になりました。しかし、人間が書いたPublickeyを同じ相手と比べても、3エンジンともAI判定です。

測っていたのはAIらしさではなく、文章のくだけ具合でした。そこで参照の register をPublickeyに揃え直しました。593は claude と agy が人間、codex がAI。589も claude と agy が人間、codex がAIでした。3エンジンに共通した指摘は、「整えすぎ」でした。教訓へ回収しすぎること、一般論へ逃げること、箇条書きが整いすぎることです。

この結果を受けて、同日夕方には日本語チューニングを切り戻しました。ステージングの593・589本文は以前のリビジョンへ戻し、書き手プロンプトから日本語ブロックを外しました。図、テーマCSS、--dim ja--dim humanlinecheck といった判定の道具は、記録として残しています。

第4期で増えた線引き

この期は、通知の一次処理を機械に渡し、止まった仕事の再開まで任せ、取り込む変更の関所と、書いた学びを実行形にする関所を増やしてきました。

今回の道具も同じ列にあります。ただし、記事を判定するところまで来ると、判定結果そのものにも線を引く必要が出てきます。だから比べる。さらに、その比較器に劣化双子を渡してみる。

いまは、線引きの道具が増えた状態です。記事とYouTube長尺には、実物を生成してから判定する契約を敷いています。長尺側では、台本の場面数、narration文字数、スライド寸法、尺を fail-closed で検査できます。でも、その検査器が劣化を見抜けるかは、まだ双子検定に通していません。

次に検定したい判定は、そこです。

この検証を回している環境

この検証は、自宅の常設ラボ(使い捨てVM/LXCを回す母艦+GPU+VLAN分離ネットワーク)で動かしています。使っている機材と選定理由、全体構成は1本にまとめています。

ラボ構成のまとめを見る →
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次